インプラント治療


2.インプラントの安全性と耐久性


インプラント治療を考えるに当たって患者さんが最も心配され、私どもがよく質問を受けるのは、安全性と耐久性についてです。ここでは体に影響を及ぼすという点で一番気になる安全性と耐久性についてご説明します。

1.インプラント素材の安全性

歯科インプラントにおける素材の安全性は
「純チタン」を使用することでクリアしています。研究によってチタンの加工技術が進んだことも大きく貢献しています。
  チタンの表面を細かくでこぼこにして表層面積を多くとることで、骨と接触したときの抵抗を増やし、骨と絡みやすくするという加工技術が進みました。

また通常は、体に金属が入ると金属イオンの溶出が起こり、体は拒絶反応を起こしますが、チタンの場合はその特性から拒絶反応の心配がありません。現在、歯科インプラントの材料として最も多用されているチタンは、強度・安全性ともに良好な生体素材です。純チタンでの金属アレルギーの発生は今のところ報告されていません。

歯科の場合、チタンは人工歯根以外では義歯(入れ歯)に使われています。整形外科領域では、人工関節や骨折時の固定用ネジ、プレートとしても多用されています。身近なところではメガネのフレームやゴルフクラブなどでもお目にかかる素材です。

2.インプラント手術の安全性

インプラント埋入手術は抜歯と同じ麻酔を用いて1~2時間で終わる日帰り手術です。
  当クリニックで手術を受けられた患者さんに感想を伺うと、「意外なほど楽だった」という方がほとんどです。もちろん外科手術ですから本来痛みも伴いますが、麻酔や痛み止めの薬で充分抑えられる程度のものですから心配ありません。
  またインプラント埋入手術は、トラブルや事故を防ぐために手順がきっちりと決まっていますので、事前に詳細な検査を行い、それに基づいた綿密な治療方針に沿って手術を行えば失敗につながるような事故は起こりません。
  当クリニックでもこれまでの症例で事故の経験はございませんが、参考までに手術時に起こる可能性のある偶発的な不快事項を挙げておきます。

インプラントの脱落  埋入後2~3週間でインプラントが脱落する理由としては細菌による感染が考えられます。インプラント周囲の骨が異常にやわらかい場合や異常に硬すぎる場合、ヘビースモーカーの方、また何らかの成人病がある方に起きやすいようです。
  症状としてはインプラントに触れると揺れを感じ、膿が出て抜け落ちるというものです。(インプラントが抜けてから2~3ヶ月後に再度埋入手術を行うとほとんどのケースで結合が得られます)

下顎の神経損傷  下顎にインプラントを埋入するときに下顎骨の中にある神経を損傷することで出てしまう「しびれや知覚過敏」の症状がまず挙げられます。この神経は感覚神経で、運動をつかさどるものではありませんから、顎が動かなくなったり顔の筋肉が引きつるようなことはありません。が、損傷してしまうと常に麻酔注射を打ったようなしびれが続きます。
  万が一症状が出てしまった場合は、神経線維を再生させる薬物やビタミン剤の投与による治療を行います。ただし神経を完全に切断してしまった場合には回復は望めません。また、知覚異常の範囲の減少や回復には個人差があることも理解しておいてください。
  下顎骨とは直接関係していない部位でも、細かい神経線維が歯、顔面の皮膚、口唇などと複雑につながっているため、ごくまれに知覚異常が生じることがあります。この場合も投薬やレーザー照射などの治療を行います。

血管損傷による出血  インプラント体を埋め込む部位(もともと歯のあった場所)の周囲には大きな血管は存在していませんが、毛細血管は歯肉だけでなく骨の中にもありますから、メスによる歯肉の切開や骨にドリルで穴を開ける時には出血します。通常の出血なら傷口を縫合して圧迫止血を施す事で自然に止まります。

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3.インプラントの耐久性

インプラントの埋入手術後、お口の中でインプラントが健康的に活躍できる期間というのは患者さんの口腔状態によって若干の差が出てきます。
  インプラントが骨とガッチリ結合したとしてもその後のケアを怠ると、天然歯の歯周病と同様に「インプラント周囲炎」となりグラグラすることがあります。
  インプラント体はよほど無理な力が加わらない限り半永久的に使える素材ですし虫歯にはなりませんが、周囲炎になる可能性は残っています。つまりインプラントの治療を終えた後の患者さんの健康状態や食生活、手入れの仕方、体質、生活パターンなどによって予後が様々に変化するのです。

このような理由から、インプラントを入れたら歯科クリニックでの定期的なメンテナンスが必須となります。インプラント治療とセルフケア、歯科クリニックでのプロによるメンテナンスは常にセットだとお考えください。
  最近の学術報告では、インプラントが総合的にきちんと使える状態が10年~15年続くのが全体の90~95%といわれています。ただしこれは非喫煙者でかつ口腔衛生状態が良好、定期検査やメンテナンスを励行している人のデータであると考えてください。
  当クリニックの場合、ある程度のリスク(歯周病であるとか口腔衛生状態が悪くなりがちであるとか)があっても定期的な検診で耐久性を上げることができると判断した場合は、積極的に患者さんのフォローをさせていただいています。10年、15年と言わず少しでも長く快適に使っていただけるようにぜひメンテナンスにご協力ください。

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