唇やその周りに痛みを伴う水ぶくれができる「口唇ヘルペス」は、
単純ヘルペスウイルス(I型)が原因で起こる病気です。
このウイルスは接触や飛沫、
ウイルスが付着したタオルや食器などから感染し、
特にアトピー性皮膚炎などで
皮膚のバリア機能が低下していると感染しやすくなります。
初めてI型ウイルスに感染した場合、
幼少期であれば症状が出にくく、感染に気づかないことが多いですが、
大人になって初めて感染すると、
40度近い高熱が出たり、口の中全体に水ぶくれができたりと、
重い症状が出ることが珍しくありません。
一度感染すると、ウイルスは体から排出されず、神経に潜伏し続けます。
I型ウイルスは顔の三叉神経節に潜伏しやすく、
ストレス、寝不足、風邪などで体の免疫力が落ちると、
ウイルスが再び活動を始め、口唇ヘルペスを発症します。
これを「回帰発症」と呼び、
一度回帰発症すると、繰り返して症状が出やすいのが特徴です。
治療には抗ウイルス薬が使われます。
薬には塗り薬と飲み薬があり、回帰発症で症状が軽い場合は塗り薬、
初めての感染や症状が広範囲にわたる場合は飲み薬が基本です。
治療すれば1週間から10日ほどで治ります。
口唇ヘルペスの水ぶくれができる3〜5日前に、
唇にチクチク、ピリピリといった違和感(前駆症状)が出ることがあります。
繰り返し発症する人は、この違和感に気づいた時点で病院で治療を始めると、
水ぶくれができるのを防ぐことができますので、
早めに皮膚科や口腔外科を受診しましょう。

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