皆さんは「お薬手帳」はお持ちですか?
通院中に処方されたお薬に関する情報を、患者さんご自身はもちろん他の医療機関でも
正しく共有できるよう活用していただくものです。
当院でも受診の際はお薬手帳を持参いただくようお願いしています。
しかし、なぜ歯の治療にこれらの情報が必要になるのか、気になったことはありませんか?
今回はその疑問についてお答えいたします。
「歯以外の病気」によって「歯の治療」に悪影響が・・・
歯科では治療の前に「既往歴」や「服薬情報」を確認しています。
この理由は大きく分けて2つあります。
ひとつは、院内で発作などが起きた際に、速やかに対処するため。
そしてもうひとつは、「服薬しているお薬」や「持病」によっては
歯科の治療ができなかったり、休薬が必要になったりするなど、
十分な注意が必要になるためです。
ご自身が「どのような薬を飲んでいるのか」把握できていないときや、自信がない場合は
お薬手帳(あるいは保険証を紐付けたマイナンバーカード)などを活用いただくのが確実です。
歯科で注意すべき「病気」と「お薬」とは
以下の病気やお薬の服用について当てはまる方は、
治療に影響を及ぼさないよう、お薬手帳などで必ずその情報をお伝えください。
1、骨祖しょう症
BP(ビスホスホネート)製剤を服用している場合、外科処置(抜歯など)ができない場合や
治療後にあごの骨が壊死してしまう可能性があるため、
治療に関して慎重に検討する必要があります。
2、喘息
歯科で処方する痛み止めで、発作が出てしまうことがあります。
3、血液がサラサラになる薬
血が止まりにくくなるため抜歯などの治療のあとには
十分な止血と予後の観察が必要です。
4、抗がん剤治療・放射線治療
免疫機能が下がり、感染症のリスクが高まるため、
歯科治療のタイミングは担当医師への確認が必要です。
歯科治療は、原則これらの治療前に受けてください。
5、ステロイドの長期使用
免疫機能が低下するため、「感染予防として抗生物質を処方する」などの
対策が必要になることがあります。
しかし、これらの病気や服薬があるからといって
必ずしも「歯科治療が行えない」というわけではありません。
また、「休薬」によって「抑えていた症状が発症してしまう」というリスクもあるため、
ご自身の判断で服薬を止めてしまうのは絶対にNGです。
皆さんと担当医師、そして私ども歯科医院それぞれが連携を取ることで
安全な治療を行うことができますので、
治療を受ける際には必ず確認させてくださるようお願い致します。